第26回OACISシンポジウム
「ビッグデータ利活用技術の最前線と今後の展開」実施報告
- 開催日:平成26年7月4日(金)
- 会場:大阪大学中之島センター
- 参加対象:IT連携フォーラムOACIS 会員及び入会希望会社・団体、その他参加希望者
- 参加者数:100名
平成26年度OACIS総会
まず、平成26年度OACIS総会が開催された。総会への参加社数は18社(委任5社を含む)であった。 OACISチェアマンの井上情報科学研究科長より、総会成立の確認の後、以下が付議され、了承された。
- 第一号報告(平成25年度活動報告)
第24回シンポジウム(参加者数:85名)、第25回シンポジウム(参加者数:145名)、技術座談会3回、Annual Report 2013〜2014の刊行などが報告され、了承された。
- 第二号報告(平成25年度決算・監査報告)
当期収入2,761,012円に対して、当期支出3,856,383円の活動を実施した。次年度繰越金は3,468,767円となった。監事の日本電気株式会社 江村克己氏より監査の代理人として委任された同社 金井順子氏より支出が適切に処理されていることが報告され、了承された。
- 第一号議案(アドバイザリーボードメンバー、ステアリング・コミティーメンバー等の変更)
アドバイザリーボードメンバー1名の変更と1名の退任、ステアリング・コミティーメンバー1名の退任、監事の変更が提案され了承された。
- 第二号議案(平成26年度活動計画および収支予算)
会員サービス強化に向け、シンポジウムを継続するとともに、昨年度より開始したシンポジウム併設の企業展示と技術座談会を発展させ、実質的な産学連携推進の環境を整える計画であることが報告され、了承された。また、当期収入2,881,012円、当期支出3,165,000円とする予算案が提案され、了承された。
第26回OACISシンポジウム第1部 (13:30〜17:30)
第1部では、OACISチェアマンの井上情報科学研究科長によるOACIS紹介の後、「ビッグデータ利活用技術の最前線と今後の展開」をテーマに、下記4件の講演とパネル討論が行われました。
- ビッグデータのインパクトを探る
講演者:国立情報学研究所 所長/東京大学 生産技術研究所 教授 喜連川 優 氏
概要:ビッグデータという言葉の意味するところが徐々に理解され出してきたのではないかと感ずる。本講演では、ビッグデータの最近の効能と講演者のFIRSTプロジェクトの成果が紹介されました。
- 課題解決エンジンを支えるデータ処理システムと利活用事例
講演者:ヤフー株式会社 システム統括本部データソリューション本部 テクニカルディレクター 角田 直行 氏
概要:Yahoo! JAPANは現在約100種類のサービスを提供し、「ユーザーファースト」を合言葉にユーザーや社会の「課題解決エンジン」であり続けるべく、日々様々な課題に取り組んでいる。ユーザーの課題を早く深く、そして正確に掴むために行動履歴を中心とするデータを収集し解析することが必須となる。本講演では、Yahoo!JAPANがデータに基づいたソリューション領域において、どのようなシステム基盤を持ち、どのように利活用しているのかについて技術解説や事例を交えて紹介されました。
- ビッグデータの産学連携の形 〜Win-Winの関係に必要なもの
パネリスト:喜連川 優 氏、角田 直行 氏、平手 勇宇 氏、鬼塚 真 氏
概要:このパネル討論会では、本シンポジウムの講師4名により、産学それぞれのビッグデータの解釈と、その違いについて討論されました。さらに、どのようなビッグデータの産学連携が可能か、どのようにして互いにWin-Winの関係を築けるのかが議論されました。
- E-commerce企業におけるビッグデータ活用の取り組みと今後の展望
講演者:楽天株式会社 楽天技術研究所 リードサイエンティスト 平手 勇宇 氏
概要:約4万店舗、1億5,000万点を超える商品で構成される楽天市場では、様々な大規模データが生成されており、これらの大規模データを有効に活用し、事業を加速させることを目的とした様々な取り組みが行われている。本講演では、商品検索サポートシステム、商品データの整備、商品レビューを利用したナビゲーション等のビッグデータ活用の取り組みが紹介され、今後の展望について述べられました。
- グラフマイニングの応用事例と高速化の取り組み
講演者:大阪大学 大学院情報科学研究科 教授 鬼塚 真 氏
概要:Facebookなどのソーシャルサービスやインターネットでのショッピングなどに代表されるように、友人関係を表現するソーシャルグラフやショッピングの購買履歴をグラフ構造のデータとして表現・分析するグラフマイニングの技術が注目を集めている。本講演ではグラフマイニングの分析事例が紹介され、このようなグラフマイニングを数10億規模のグラフデータに適用するための高速アルゴリズム(特にPageRank計算とグラフクラスタリング)について紹介されました。更に、Hadoopに代表されるような大量のマシンを活用した分散処理の高速化の取り組みについて紹介されました。
第26回OACISシンポジウム第2部 (17:30〜19:00)
第2部の自由討論会では、OACISチェアマンの井上情報科学研究科長の挨拶の後、活発な議論がそれぞれの参加者の間で交わされました。
アンケート結果
回収されたアンケートは23でした。
設問:今回の参加目的は |
「ビッグデータ利活用技術の最前線と今後の展望」についての情報収集 | 16 |
講演のテーマや講演者への関心 | 4 |
大阪大学の取り組みへの関心 | 7 |
その他 | 1(総会に出席ため) |
未回答 | 0 |
重複回答 | 5 |
設問:本シンポジウムにご参加された全体的な印象は |
大変役に立った | 14 |
役に立った | 7 |
普通 | 0 |
役に立たなかった | 0 |
全く役に立たなかった | 0 |
未回答 | 2 |
アンケートの中から自由意見を以下に示します。
- ビッグデータの活用技術に課題がよくわかった
- パネル討論は本音の意見かつ知見・専門的な示唆に富んでおり刺激があった
- 産・学いずれの動向も興味深い内容を含んでおり今後の業務に活用できるとの感触です
- パネルディスカッションではフランクな意見が飛び交って刺激を受けました
- 大学と企業でどういう住み分け・連携が望まれるか等普段考えない様な話が聞けて良い刺激になりました
- ビッグデータのインパクトを実感できた
- スピーカーが充実していた.特に喜連川先生の、先見性・示唆に富んだお話は勉強になりました
- 産学連携の意義についての論議は大変参考になりました
- 産学連携についてリアルなお話を聞けたところが役に立ちました
- ビッグデータの動向・内容等大変貴重なお話を聞く事ができました
- ビッグデータ技術そのものではなくビッグデータが起こす社会への大きなインパクトの紹介という面で講演Iは大変面白かった